都農ワインは、現在では世界も注目するワイナリーの一つとして知られていますが、人口1万2000人の極めて特産の少ないこの地の農業を活性化し町おこしとするために、平成元年に町と農家とが共同となってのワイン造りを実現しようと、第三セクターで設立されました。元々生食用ブドウの栽培は行っていましたが、ワイン醸造の経験には乏しく、ブラジルでワイン造りをしていた小畑暁氏に詳しい人材を委嘱しました。しかし、気温が高く、雨量が多い火山灰性の土地でミネラル分が不足するというワインには適さない土壌であることから、土の基礎研究から手を付け、試行錯誤の結果、堆肥による土壌改良を行い、ワイン用ブドウにふさわしいミネラル分に富んだ土地を得ることができました。そして、地元産のブドウにこだわった独自の個性を持ったワイン造りの成功に至りました。現在4.5haほどの畑でシャルドネ、ソービニヨン・ブラン、シラー、ピノ・ノワール、マスカット・ベーリーA、テンプラニーリョ、メルローなどの世界を代表する専用品種を栽培しています。こうしたブドウを都農の地で育てることにワイン造りの原点があるとして、テロワールを主張した都農でしか表現できない個性を持つワインを造り出しています。
こちらは、色が濃くタンニンの豊富な品種ビジュ・ノワールを使用したキュヴェです。フランス語で「Bijou=宝石」「Noir=黒」という意味です。甲州三尺×メルロにマルベックを掛け合わせた国内交配品種で、熟成が早く、台風シーズン前に収獲でき、都農の地に適した品種と言えます。選別しながらの収穫により良質な果実のみを使用しており、10日程度の醸し発酵の後、櫂入れや液循環を行いプレスし、約8ヶ月間フレンチオークで樽熟成されています。プラムなどの黒いベリー系の香り、骨格のあるしっかりとした果実味と程よいタンニンが全体を構成しています。重厚感がありながらも緻密さと繊細さを併せ持つ赤ワインです。